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東京教育大闘争の敗北―ある農学部生の総括
黒川敏夫・夢諸野迷著者(三協社)6000円+税

 現在の筑波大学はかつて東京教育大学と呼ばれ、都内の大塚、駒場、幡ヶ谷にキャンパスを持っていた。これらの学部群が筑波に集約され、筑波大学が開設されたのが1973年のことである(東京教育大閉校は78年)。
 この移転の間、他の大学の例に漏れず、激しい全共闘運動が巻き起こった。東大安田講堂事件があった69年には、一部学部の入試が中止される事態にもなった。本書はその一部始終を綴った闘争記である。

 黒川氏は農学部の学生として67年に入学。農学部のあった駒場キャンパスで、大塚キャンパスとは別途、闘争を展開した。しかし、氏は「主流」とされた大塚の闘争を描きつつ、「傍流」とされた駒場の闘争に対しても、自らの体験も交えながらスポットライトを当てようとする。その記録は62年から78年の16年にわたり、実に詳細に記述されている。氏の大学闘争に賭けた情熱が伺える。

 一方、夢諸野迷は、「無署名論文」をもじった架空の集合体だという。名もなき多くの著者たちもこの闘争記録の叙述に携わっているというわけだ。
author:自費出版図書館, category:書評, 15:16
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