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季節のアルバム2〜美術展を巡って〜
林達津子著

 大阪府の職員である著者が綴る、エッセイ集である。「地に足をつけた」印象が一般的な公務員の姿とは別の、著者の「漂い方」を記したシリーズだという。

 シリーズ第二作となる本作では、全国各地の美術展を巡った場面が綴られている。年に20回は美術展を訪れるという著者の記録は膨大だ。古いものでは1995年から新しいものでは2010年まで、和洋を問わずジャンルも様々だ。ずっとパソコンに書き溜めてきたものだというから、そのまめさには頭が下がる思いがする。願わくば、著者撮影の写真がより多くあれば、読者もその心象風景をより共有できたかもしれない。

 ただ、本書の真髄は美術展の内容そのものもさることながら、美術展を通じて築いた様々な人々との交流にあるように思えてならない。著者自身が述懐するように、本書に登場する人物は誰もが「色濃いパーソナリティ」を備えている。そんな人々とのふれあいの記述に関心を引き寄せられる。本書は美術を巡る旅の記録であるのと同時に、市井のなかで輝く人々の記録であり、そんな人々と多様なつながりをつくってきた著者の自分史でもある。
author:自費出版図書館, category:書評, 15:03
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