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施設は子らの故郷
東京都知的障碍者施設家族会等連合会発行

 東京都西多摩郡にある知的障害者援護施設、東京多摩学園。本書はこの学園に子どもを通わせている親たちの手記18点を収録している。

 どの手記からも知的障害のある子を持った親たちの計り知れない苦しみ、そしてそれに負けずに生き抜こうとする努力が強く伝わってくる。場合によっては、語るのも辛いはずの闘いの日々を、なぜこれほどまで多くの人たちが書き残そうとしたのか。それには理由がある。2005年10月に成立した障害者自立支援法により、東京多摩学園が解体の危機にあるからである。

 障害者自立支援法は「ノーマライゼーションを実現し、生まれ育ったその地域で暮らす」ことを根本原理としている。一見、理想的にみえるが、それはとりもなおさず施設に障害者を閉じ込めない、施設は順次分割・縮小していくことを意味している。しかし、ノーマライゼーションが実現していない現代社会で、障害者が普通の人と学び、働き、生きていくことには多大な苦難、そして差別が残っている。

 多摩学園の保護者たちはこうした現状のなかで、援護施設をなくしてほしくない、支援法による改悪を撤回してほしいという思いで、この手記を寄せているのだ。
 その悲痛な叫びに、耳を傾けるべきではないだろうか。
author:自費出版図書館, category:書評, 14:31
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