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寺島暢雲仏像作品集
寺島シズ子編・門井朋撮影

=柔らかな光に包まれた仏像。生前彫り続けた仏像に込めた亡夫の心が浮かび上がる写真集=

 温かい光に照らされて、地蔵菩薩の優しい顔が浮かび上がる。釈迦如来が静かに目を閉じ瞑想にふける。聖観音が穏やかに世々の人の声に聞き入る。そして不動明王が仏法に反するものに怒りを表わす。

 本書の写真に収められた仏像は、いずれも寺島暢雲氏が振るったノミによる木彫りである。その仏像をすべてろうそくの灯火で撮影したものだ。同じろうそくの光に照らされた仏像なのだが、浮かび上がった顔から受ける表情はもちろん、光の強弱の印象までもが異なって見えるから不思議だ。

 教師だった暢雲氏は20代のころから仏像彫刻を趣味としていた。それも作家に師事することはなく、独学で始めた。小学校の校長を最後に定年退職、しかし翌年肺がんを宣告され、2008年に永眠した。瑞宝双光章を受章。氏の妻、シズ子氏が夫の作品を写真集として出版した。

 仏像を通して、氏の心がじわじわと染み出してくる。そんな心を表出させた写真表現も必見だ。
author:自費出版図書館, category:書評, 14:09
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